「世田谷パブリックシアター」の俳優さんたちが創作した演劇作品『ともにゃの部屋~黒田真史さん〜』は、令和4年度から文化庁の文化芸術による子供育成推進事業として学校で実施されています。このプログラムは、障害のある人と出会ったり触れ合ったりする機会の少ない子供たちが、障がい者と出会い、 思いや考えを共有する場をもち、障がい者への理解を深めようという目的で始まったそうです。この公演プログラムが10月22日と28日に5年生の各クラスを対象に行われました。
前半の公演は、18歳のときに交通事故で高次脳機能障害となった黒田さんが、失意のどん底からリハビリを重ね、口から食べたり、一人で出かけたり、 タブレットで意思を伝えたりと、一つずつ自分の願いを叶え、 人と関わりながら生きていく姿を描いています。公演後のワークショップでは、黒田さんがスーパーマーケットで買い物をする場面を、 子供たちと一緒に演じ、自分で商品を手に取れず、 会話も難しい黒田さんに、どんな手助けができるのかを、実際に体験を通して考えました。 その後 みんなで感想を出し合ったり、質問したりしながら交流を深めました。いつの間にか、子供たちと黒田さんの距離が縮まり、身近な人のように接する子供たちの表情が印象的でした。
最後に黒田さんからは、障害という弱みが、「世田谷パブリックシアター」さんたちと出会えたことによって、強みに変えられたこと、ダメだと思っても諦めるのは最後にして、やりたいことや好きなことを強く願うだけでもその願いが人に伝わることがある、というメッセージをもらいました。